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【干し大根とは?】天日乾燥した大根【たくあんにも使われます】

干し大根は、大根を風通しの良い環境で天日干しにして、水分を抜いた大根のことです。

主に九州の宮崎県や鹿児島県などで多くつくられているもので、年々生産量は減少傾向にあります。

たくあんは、干し大根を使ってつくられることもあり、塩押し大根を使ったたくあんとは違った良さがあります。

この記事では、そんな干し大根についてわかりやすく解説しています。

干し大根とは

干し大根は、天日乾燥した大根のことです。宮崎県などでは、大根を干す「大根やぐら」が日本農業遺産に認定されるなど、注目されることもあるのが、この干し大根です。

干し大根とは天日干しした大根

大根は野菜の一種ですが、多くの野菜は水分を多く含んでいます。大根も例外ではなく、収穫した時は大量の水分を含んでいます。具体的には、95%ほどの水分を含んでいると言われています。

そんな大根を、風通しの良い場所で葉っぱの部分を結ぶなどして棚にかけて、天日の下で乾燥させることでつくられるのが干し大根です。

大根は冬に収穫できる野菜なので、冬場に天日干しすることになります。冬場に天日干しするときは、大根が凍らないようにストーブを稼働させたり、雨に濡れないようにシートをかけるなどして細心の注意を配ることが必要になります。

干し大根にする大根の種類

干し大根にする大根の種類は、白首大根を使うことが一般的です。白首大根について、気になる方はこちらの記事が分かりやすく解説しているので参考にしてい見てください。

たくあんに使われる白首大根

収穫してから干し大根になるまで

大根を収穫してから干し大根になるまでは、約2週間~3週間ほどの期間がかかります。

収穫した大根には、土がついているのでその土を水で洗い落します。土が落ちた大根を棚にかけられるように葉っぱの部分をしばるなどします。棚にかけられるようにした大根を、棚にかけていきます。その後、天候次第ですが10日~14日ほどの期間をかけて天日干しして、大根の歩留まりが30%程度になるまで乾燥させます。乾燥後は、葉っぱの部分を切り落とすことが一般的です。

棚にかける時は、大根4本で一束にしたり、大根6本で一束にするなど、さまざまな方式があります。

また棚のつくりかたにも地域差があり、宮崎県の大根やぐらと、愛知県の大根やぐら、東京都の干し方など、環境に合わせた方式になっています。





干し大根に含まれる栄養

では、なぜ干し大根にするのでしょうか。干し大根にすることで、生野菜だった大根の水分活性が減って保存性が高まるというのがあります。腐ることについては、別の記事でたくあんの保存性が高い理由で解説しているので、気になる方は参考にしてみてください。

保存性の高いたくあん【腐りにくい理由】

また、腐りにくいだけではなく、うま味成分が増えたり栄養成分が増えるなどの研究も進んでいます。ここからは、各栄養成分について解説していきます。

食物繊維

干し大根の食物繊維は、100gあたり5g程度含まれています。生大根は100gあたり1.4gが含まれています。

これは、もともと95%程度含まれている水分が、天日乾燥によって30%程度になるので、100gあたりの食物繊維の割合が増加します。

食物繊維が含まれていると、どのような健康効果があるかについては、たくあんに含まれている栄養で解説しています。

【健康に良い!】たくあんは栄養が豊富!

GABA

GABAをご存じでしょうか。GABAはアミノ酸の一種で、血圧を下げたり、睡眠の質を上げるなどの効果が期待される成分です。

天日干しすることでグラムあたりに含まれるGABAが7倍になるとの研究が出ています。

詳しくはこちらの記事がわかりやすく解説しています。

【高血圧を防ぐ】たくあんとGABA【塩分が多いのが全てじゃない】

アミノ酸

アミノ酸は、さまざまな効果がある成分です。特に知られているのは、うま味成分としての役割です。

大根を天日干しして乾燥させることで、紫外線によって酵素の働きが活発化され、アミノ酸などの様々な栄養素が増加すると言われています。

詳しくは別の記事で解説します。





干し大根を使ったたくあん

伝統的なたくあんは、干し大根を使用しています。近年は塩押し大根を使用したたくあんが主流になっていますが、味や歯ごたえなどで定評があるのは干し大根を使ったたくあんです。(塩押し大根について気になった方はこちらの記事がおすすめです。)

【干さないたくあん】塩押し大根とは?

特徴

干し大根を使用した大根の特徴は大きく3つあります。

1.うま味がある

干し大根は、天日乾燥する過程で紫外線による影響等を受けて、酵素の活動が活発になりうま味成分であるアミノ酸やグルタミン酸が増えるということがわかっています。

うま味成分があるので、当然最終的にうま味を感じることのできるたくあんになり得やすいのが特徴の一つです。

一般的には、塩押し大根を使用したたくあんよりも干し大根を使用したたくあんの方が高い値段で取引されることが多いです。それは、希少性にも起因していますが、味の面での需要があるためだと考えられています。

2.食感が良い

干し大根は、歯ごたえの良い食感が特徴です。塩押し大根よりも、水分量の比率が低いので、大根の繊維が密になり歯ごたえの良い食感が生まれます。

たくあんの印象的なポリポリとした食感は、干し大根を使用したたくあんです。塩押し大根の方がやや柔らかい歯ごたえに仕上がっています。

3.保存性が高い

干し大根は水分活性が低くなるので、保存性が高いと言われています。水分活性が低いと、微生物が活動しにくい環境になるので、腐敗が進みにくいです。

腐敗が進みにくいので、保存性が高く、保存料などを使用しなくても、塩押し大根よりも比較的衛生管理がしやすいという利点があります。

塩押し大根との違い

塩押し大根と比べると2つの特徴があります。

1.塩分が低い傾向にある

塩押し大根は、脱水する過程で食塩を使用して浸透圧の効果を利用します。そのときに、大根の内部に食塩がしみ込むことから、脱塩工程を挟んでも塩分が高くなる傾向にあります。

干し大根は、脱水する工程が干す工程になるので、食塩を使うタイミングが、本漬け以降のタイミングになります。そのことから最終的に塩分が低くても水分活性が低く維持することができます。

食品成分データベースを見ても、100gあたり、塩押し大根だと3.3gで干し大根だと2.5gという数値になっています。(日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参考)

2.生産量が少ない

干し大根と塩押し大根は、生産量が大きく違うので最終的な流通量も大きく異なってきます。

売上額でみると、干し大根は塩押し大根の25%程度になっています。干し大根の方が塩押し大根より単価が1.5倍~2倍程度高いので、流通量で見ると15%~20%程度だと算出することができます。

これは、大根を干す手間がかなり、費用対効果に見合わないと考えられているため、年々減少してきているのが要因だと考えられています。

おすすめの干し大根を使ったたくあん

おすすめの干し大根を使ったたくあんを紹介します。

1.九州天日干し沢庵と三年本仕込み沢庵セット(キムラ漬物宮崎工業)

購入ページはこちら

宮崎県産の干し大根を使用しています。化学調味料などを使用していないため、大根本来の味わいを感じることができます。

塩押し大根を使用したたくあんしか食べたことない方は、味の違いに驚くかもしれません。

2.渥美一丁漬と赤だしみそ漬セット(キムラ漬物)

購入ページはこちら

干し大根を使用して、愛知県らしい味わいに仕上げたたくあんのセットです。愛知県渥美半島の伝統製法をもとに仕上げた渥美一丁漬と、まるや八丁味噌を使用して仕上げた赤だしみそ漬です。

どちらもお酒のおつまみとしての人気のあるたくあんです。