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【高血圧を防ぐ】たくあんとGABA【塩分が多いのが全てじゃない】

GABAって知っていますか?もしかしたら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

GABAは血圧を下げたり、睡眠の質を向上させると言われている成分で、たくあんに含まれているということが研究で分かっています。

このを読むと、GABAとは何か、GABAとたくあんの関係、ほんとうに血圧を下げるのか、という点について解説していきます。

GABAとは

GABAとは、Gamma-Amino Butyric Acid(γ-アミノ酪酸)の略です。ギャバと呼びます。

GABAの概要

近年、GABAに対する注目度が上がってきており、サプリメントや健康食品などでGABAを含有しているものが増加している傾向があり、ニーズと供給のどちらも増えている状況だと言えます。

2020年8月には、GABAの機能性表示食品の受理件数が300件を超えて、認可のもとに多くの方が安心して購入できるようになっています。

謳える健康機能が複数あったり、約20mg~100mgと比較的少量で利用できたり、熱や酸に強く幅広い食品形態に利用できる汎用性の高さなどからGABAの受理件数が増えている要因だと考えられています。

GABAは、生物の種類を問わずに広く分布し、温度・浸透圧・乾燥処理などの外的ストレスを受けることで、グルタミン酸脱炭素酵素の働きによってグルタミン酸から生成されます。漬物においてもぬか床やキムチなどでGABAを高生産する乳酸菌が見いだされています。

GABAの健康効果

1.高めの血圧を下げる

GABAには、交感神経をしずめて、血管を収縮させる神経伝達物質(ノルアドレナリン)を抑制する作用があり、血管がゆるむ効果として血圧が下がると考えられています。

GABAを摂取しない場合は、ノルアドレナリンが血管を収縮させて血圧が上昇しやすい状況になります。

2.精神的なストレスの緩和

GABAには、事務的作業による一時的・心理的なストレスを手依願する効果があると考えられています。

口から摂取したGABAは、小腸で吸収されて血中に取り込まれ、末梢の自律神経系においてノルアドレナリン等の興奮系ホルモンの放出を抑制し、副交感神経を活発にすることでリラックス効果を示すことが研究で分かっています。

3.睡眠の質の向上

GABAを摂取すると、眠りの深さやすっきりとした目覚めの改善に効果があると考えられています。

GABAを摂取した人と、GABAを摂取していない人で試験をした結果、深い眠りの時間が増加し、起床時の気分が改善したということが研究で分かっています。

GABAの摂取目安

GABAの摂取目安については、1日あたり10mg~80mgの摂取で高めの血圧を下げる効果、1日あたり26.4mg~70mgの摂取で精神的なストレスの緩和する効果の有効性が確認されています。

確実に効果が期待できる摂取量の目安は、1日あたり30mg以上とするのが適当と言われています。

また、GABAの過剰摂取に関する健康被害を確認した例はないとのころです。ただ、他の食品との兼ね合いがありますので、他の栄養の過剰摂取にならないような注意は必要です。

GABAが多く含まれている食べ物

発芽玄米(約10mg)

ジャガイモ(約28mg)

ナス(約32mg)

ミニトマト(約35mg)

たくあん(約105mg)






たくあんとGABA

たくあんは上述の通り、他の野菜などと比べると多くのGABAを含んでいます。しかし、すべてのたくあんがGABAを大量に含んでいるわけではないので注意が必要です。

具体的には、干し大根を使用したたくあんにはGABAが多く含まれているのですが、塩押し大根を使用したたくあんにGABAが多く含まれている結果は出ていません。(干し大根について詳しく知りたい方はこちらの記事、塩押し大根について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。)

【干し大根とは?】天日乾燥した大根【たくあんにも使われます】

【干さないたくあん】塩押し大根とは?

干し大根を使用したたくあんにGABAが含まれている理由

干し大根を使用したたくあんは、発芽玄米の約10倍ほどのGABAが含まれていると言われています。これは、収穫した大根を天日干しする際に、紫外線による影響で大根に含まれる酵素の活動が活発になり、GABAをはじめアミノ酸などの栄養素が増えるからだと考えられています。

また、大根にもともと含まれていたGABAについても、天日干しすることで95%ほど水分だった大根が、半分以下の水分になるので、グラム当たりの含有量が増えることも要因の一つです。

たくあんのGABAに関する注意点

ただ、たくあんでGABAを摂取しようとするのであれば、2つ注意点があります。

1.どのたくあんがGABAを含んでいるのかわかりにくい

はっきり申し上げると、GABAの含有量を明記しているたくあんは、市場に流通していません。つまり、どのたくあんがどの程度GABAを含んでいるのか全く分からないのです。

GABAをたくあんから摂取したいと考えて、最低限やれることとすれば、塩押し大根を使用したたくあんではなく、干し大根を使用したたくあんを購入するということです。商品パッケージの原材料名表示の場所に、干し大根か塩押し大根かを明記してあるケースが一般的なので、購入前に確認することができます。

干し大根を使用したたくあんでも、漬け込む工程などの製造工程においてGABAが損失することがあるので、確実にたくあんには何グラムのGABAが入っている、ということはわからないのです。

2.たくあんを食べすぎると塩分過多になる可能性がある

前述のとおり、100gあたりのたくあんに105gのGABAが含有されています。ただ、たくあんの食べ方によっては大量摂取できないことが多くあると思います。

例えば、ごはんのおかずやお酒のおつまみとして食べる場合は、スライスして食べることが一般的だと思います。スライスしたたくあんは、一切れ5g程度なので、5g程度のGABAの摂取になります。一切れのたくあんを食べると、約0.2g程度の塩分を摂取することになります。(1日の食塩摂取基準が男性は7.5g、女性が6.5gとされています。)

また、たくあんに塩分が多い理由についてはこちらの記事で解説しています。

たくあんの塩分が多い理由

たくあんと高血圧の関係

血圧は、塩分を摂取すると上昇することがあります。一方で、上述の通りGABAを摂取すると血圧の上昇を抑えることができるということでした。

では、塩分の摂取とGABAの摂取を同時に行う、たくあんは食べると血圧が上がるのか下がるのかどちらでしょうか。

結論としては、血圧を低下させることが可能という見解です。

今回重篤な疾患を有しない日本人21名の被験者を、8週間毎朝、干したくあん25g(GABA量は約26mg*6)を摂取する群とプラセボ群の2群に分けて臨床試験を行いました。たくあん群の収縮期、拡張期の血圧は、摂取前と比較して、それぞれ5.2%、5.4%低下したことから、GABA高含有干したくあんの日常的な摂取により、正常高血圧のヒトの血圧を低下できる可能性が示唆されました。

宮崎県食品開発センターや宮崎県干したくあん・漬物研究会などの研究





まとめ

干し大根を使用したたくあんは、多くのGABAを含んでいます。たくあんをはじめとする漬物は塩分の含有量が多く塩分の過剰摂取につながり健康被害を懸念する点から近年、低塩化などが進んでいます。

一方で、たくあんに含まれているGABAは塩分の過剰摂取による健康被害の一つの高血圧を防ぐ可能性が示唆されています。

たくあんへの見方を変えていただけると幸いです。