【なぜ?】たくあんが黄色い理由

大根は白いのに、たくあんは黄色いのはなぜでしょうか。
結論としては、
大根の辛味成分が変化して、黄色い色素が生成されるからです。
(発酵とは別の現象です。)
目次
大根に含まれる辛味成分
たくあんに使われる大根は、「白首大根」です。(白首大根について知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
この白首大根には、一般的な青首大根より多くの辛味成分が含まれています。
カラシ油という辛味成分
大根に含まれる辛味成分は、カラシ油と呼びます。
このカラシ油は別名で、イソチオシアネートとも呼ばれています。
カラシ油には、天然で100種類以上あると言われています。大根には100種類の中で数種類のカラシ油が含まれていると言われています。
その数種類のカラシ油の中で、主要なカラシ油は、「4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネート」と呼ばれるカラシ油です。
このカラシ油は、大根に含まれる酵素によって加水分解されて発生します。
大根に含まれる酵素
大根に含まれる酵素は、ミロシナーゼと呼びます。
ミロシナーゼは、維管束形成層のあたりに多く存在しています。
大根を塩漬けにして細胞を細胞が破壊されたタイミングで、このミロシナーゼが、大根に含まれている「4-メチルチオ-3-ブテニルグルコシノレート」という成分を酵素的な分解します。
分解によって、カラシ油(4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネート)が生み出されます。
カラシ油の変化
分解によって生み出されたカラシ油は、非常に不安定な成分です。
このカラシ油が水と反応し、反応する過程で「メチルメルカプタン」や「ジメチルジスルフィド」と呼ばれる臭気成分を放出します。
この臭気成分が、たくあん特有のにおいになっています。
さらに反応が続き、黄色色素の元になる成分の「テトラハイドロ-β-カルボリンカルボン酸(TPCC)」が発生します。
保存期間が長くなるほど、この黄色色素の元になる成分が変化して、黄色色素の「2-[3-(2-チオキソピリジン-3-イリデン)メチル]-トリプトファン(TPMT)」が生成されます。
ここまでをまとめると、以下のようになります。

たくあんへの着色料の使用
ここまで、酵素などによる反応によって大根が自然に黄色くなることについて説明してきました。
一方でたくあんには着色料が使われるという話を聞いたことありませんか?
たくあんに使われる着色料については別の記事で解説します。
着色料が使われる理由
たくあんに含まれる黄色色素(自然由来のもの)は、3つの大きな弱点があります。
1.色にムラがある
大根の辛味成分は、大根の部分によって含有量が異なってきます。
具体的には、根の部分に多く辛味成分が含まれています。
この辛味成分の含まれている量の違いによって、黄色のムラが発生します。
2.光によって脱色しやすい
たくあんは、スーパーマーケットなどで陳列されます。
陳列されたたくあんは、スーパーマーケットなどの店頭で照明を浴び続けることになります。
その照明によって脱色し、見栄えが悪くなります。
3.黄色色素が生み出されるまで時間がかかる
黄色色素が生み出されるまでには、何ヶ月という期間が必要です。
また生み出される現象も、一瞬で起こるわけではなく、時間をかけて黄色色素が生み出されていきます。
大根は、冬に収穫されて漬け込まれるので、夏のたくあんと冬のたくあんでは黄色さが異なってきます。
この3点による見え映えの悪さを改善するために、着色料が使われます。
まとめ
たくあんは、大根を漬けこむ間に黄色く変化します。
着色料によって黄色く着色されることもありますが、もともとは自然に黄色くなるものです。
また使われている着色料も国が認可しているものを使用していますので、安心して良いと思います。
参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/44/5/44_307/_pdf